サワードウ スターターの作り方
小麦粉と水だけでサワードウ スターターを作る方法をご紹介します。サワードウ スターターさえあれば、パンやクッキーやケーキ、トルティーヤなど、本当に簡単にそして栄養満点に作れるようになります。我が家では、もうなくてはならない存在です。
なぜサワードウなのか?
我が家ではパンやデザートを作るときに、小麦粉をそのまま使うことは滅多にありません。小麦粉と水だけを使って自家培養した天然酵母のサワードウ(サワー種)スターターを使います。小麦というのは酵素抑制物質やフィチン酸を含んでおり、体にミネラルを吸収するのを阻害しますし、それを長い間摂取し続けると胃腸に破綻をきたし、結果として近年よく言われるグルテンアレルギーなどということが発生してしまうのです。天然酵母を使い、小麦粉を長い時間かけて発酵させることで、酵素抑制物質やフィチン酸を分解し、私たちの体がグルテンを消化しやすいようにします。つまり、サワードウで作ったパンは小麦の栄養価を吸収しやすくし、小麦本来がもつマイナス要素を排他してくれます。また、長時間の発酵の過程で、ドライイーストで短時間に発酵させたパンには出せない深みのある味を生み出してしてくれるのです。サワードウは私たちにとってとても有益なものと言えます。
サワードウ スターターってなに?
小麦粉と水を使い、自然界に存在する細菌で培養した酵母で、生地を発酵、膨らませるために使用されるドライイーストの代わりとなるものです。
サワードウ スターターの材料、それは水と小麦粉だけ。発酵の過程で、野生酵母と乳酸菌が合併します。それらは小麦粉から出るものもあれば、自然環境から得るもの、そして皆さんの手から出ているものもあります。
その酵母によって生地からガスが発散され、それが気泡となります。グルテンが発生し、スターターのカサが増えるだけでなく、パン生地が膨らみます。
また、発酵の過程で細菌により乳酸菌が造られます。これにより、スターターとそれを使って作るパンに酸味が生じます。これがサワードウのユニークな香りに繋がります。
初めてサワードウ スターターを作るのは挑戦的かもしれません。実際に結構大変です。小麦粉と水だけで作っているのになんでそんなに大変なのか。それは、みんながみんな同じ結果を得られるわけではなく、室内の温度や湿度、使っている小麦粉によって異なる反応をするからです。イライラするかもしれませんが、一人ではありません。私も実際1度失敗して諦めました(笑)。忍耐を持って、楽しんで作ってみてください。
サワードウ スターターを作るのに適した環境
理想的なのは、室内の温度が24〜26℃の時です。日本だと初夏でしょうか。その時だけしか作れないというわけではありません。それ以上温度が高ければ、発酵が早く進みますし、温度が低いと発酵に時間を要します。
サワードウ スターターを作るのに適した小麦粉
一番成功させやすいのはライ麦で始めるスターターと言われています。しかし、全粒粉でも強力粉でもスターターは作れます。このときに覚えておいていただきたいのは、プロテイン(グルテン)の量が多いものの方がいいと言うことです。特にライ麦や全粒粉には野生酵母が多く含まれているので、発酵のジャンプスタートを助けてくれます。
サワードウ スターターを作るのに適した水
フィルターを通した浄水を使いましょう。室温が低すぎるときには、水を少し温めてから(35℃くらい)使うと発酵しやすくなります。
サワードウ スターターを作るのにどのくらいかかるか
前述のように、スターターを作る時期やその小麦粉によってだいぶ変わってきますが、平均して7日くらいです。冬場だと10日くらいかかることもあります。
なお、最初は1日1回、その後は1日に2回、ほぼ同じ時間にフィード(新たに小麦粉と水を加えることを、スターターに餌を与えることからこう呼びます)することになりますので、最初からご都合の良い時間を選ばれることをお勧めします。例:最初数日は毎日19:00にフィード、その後は19:00と7:00amにフィードなど。
フィードする時には必ずサワードウを半分捨てないといけないのか
スターターを作る時には、捨てることが必要になります。捨てないと、量がどんどん増えていってしまい、健康なスターターを維持するのが難しくなります。スターターの元量が増えてしまうと、フィードする小麦粉と水の量も増やさないといけなくなります。
「捨てる」といっても、決してゴミ箱に捨てるわけではありません。捨て種を別瓶に溜めておいて、捨て種レシピを楽しんで下さい。
サワードウ スターターが完成したかどうか、どうやってわかるのか
フィードしてから4−12時間後にカサが倍以上に増え、気泡がたくさんできていれば完成したと言えるでしょう。
または、スターターを少量水に落としてみて、浮くかどうかを見ることで、完成したかがわかります。室温の水をグラスに注ぎ、500円玉サイズのスターターを水に落としてみて下さい。浮けば完成、浮かなければもう少し!ということになります。
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サワードウ スターターの最適フィード時 見極め方
スターターをフィードしてすぐには変化が現れませんが、発酵が進むにつれて、いくつかのことが起きてきます:
✧ グルテンが形成される
✧ 酵母が二酸化炭素を生成し、それがグルテン内部に閉じ込められることで気泡が発生する
✧ 乳酸菌が発生しサワードウ独特の風味が形成される
さらに発酵が進むと、どんどん気泡が増えて発酵のピークを迎えカサが大きく増します。
カサが増えるのが止み、カサが萎み始める時に起きていることは:
✧ 酵母がエサを食べ切り、これ以上二酸化炭素を生成しない
✧ グルテンの力が減少し(分解され)、気泡を閉じ込められなくなる
そのピークが経過すると、スターターはどんどん萎んでいきます。この時スターターは再度お腹が空いてくる時で、スターターを再度フィードしたり、パン生地をミックスするのに最適なタイミングです。
サワードウ スターターの作りに必要な材料と道具
■材料■
- 小麦粉(最初はライ麦や全粒粉を使うことをお勧めしますが、強力粉でもできます)
- 浄水
■道具■
- ガラス製の保存瓶(500ml以上のもの):2つあると捨て種を開始する際に便利です。
- 木ベラなど混ぜるもの
- キッチンスケール
- 輪ゴム 1本
サワードウ スターターの作り方
■1日目■
30gの水と30gの小麦粉を保存瓶の中でよく混ぜます。軽く蓋をしてカウンターに置いておきます。上述のように、サワードウ スターターを作るのには適温があります。冬場であれば家の中でも最も暖かいところを探してみましょう。ただし、暑すぎて調理されないように気をつけましょう。私はガス台の真横(時に真上)やオーブンの上に置いて暖かさをキープさせています。
■2日目■(1日目からおよそ24時間後)
まずは観察してみて下さい: 泡は出ているか、カサが多少増えているか、質感がドロっとしてきているか等。その上で、再度フィードして下さい。1日目から24時間ほど経っているのが理想です。30gの水と30gの小麦粉を加え、よく混ぜ、再度蓋をしてカウンターに置いておいて下さい。その際、スターターの高さに合わせて輪ゴムや水性ペンで印を付けておくと、どのくらい膨らんだかが見やすくなります。
■3日目■(2日目のフィードからおよそ24時間後)
また観察してみましょう: 泡は増えているか、カサがおよそ「2倍」に膨らんでいるか、ドロッとした質感になっているか、酸っぱい匂いがしてきているか。こういうサインが見られたら、スターターがうまく育っている証拠です。
⇨前日と比べてあまり変化が見られないようであれば、60gの水と60gの小麦粉を加え、酵母が育ちやすくしてあげましょう。
⇨変化が見られていれば、ここで初めて、サワードウを「捨て」ます。40gのスターターだけを残し(もしくは他の瓶やタッパーなどに移し)、40gの水と40gの小麦を加え、よく混ぜ、軽く蓋をしてカウンターにおきましょう。「捨て」たスターターはクラッカーやパンケーキなどを作るのに使えるので、是非他の保存瓶に入れて冷蔵庫で保存しておいて下さい。
■4日目■(3日目のフィードからおよそ24時間後)
観察:気泡がたくさん出ているか、2倍に膨らんだか、酸っぱい匂いがするか。これらは全てスターターがうまく育っているサインです。こういったサインが見れたら、前日と同様40gのスターターだけを残し、40gの水と40gの小麦を加え、よく混ぜ、軽く蓋をしてカウンターにおきましょう。
✳︎サインが見れなかったら、「捨て」ずに、40gの水と40gの小麦粉を加え、酵母が育ちやすくしてあげましょう。なお、この時点でまだ一度も「捨て」ておらず、カサが増えていない場合は、一度40gだけを残し、40gの水と40gの小麦を加え、よく混ぜ、軽く蓋をしてカウンターにおきましょう。そうでないと、スターターの量がどんどん増えてしまいますし、酸も増えて酸っぱくなり過ぎてしまいます。
■5日目■(4日目のフィードからおよそ24時間後)
観察:たくさんの気泡、カサが2倍、ドロッとした質感、酸っぱい香り。これらは全てスターターがうまく育っているサインです。こういったサインが見れたら、前日と同様40gのスターターだけを残し、40gの水と40gの小麦を加え、よく混ぜ、軽く蓋をしてカウンターにおきましょう。
✳︎この時点でもあまり変化が見られない場合、グルテンの多い小麦粉に変えてみるか、温度を見直してみましょう。寒すぎるのかもしれません。フィードする水を少し温めてみたり、スターターを置く場所を変えてみて下さい。40gのスターターだけを残し、40gの水と40gの小麦を加え、よく混ぜ、軽く蓋をしてカウンターにおきましょう。前日に1度「捨て」ている場合には、今回は「捨て」ずに、そのまま40gの水と40gの小麦を加え、よく混ぜ、軽く蓋をしてカウンターにおきましょう。
スターターに変化が出るまでこれを繰り返してみて下さい。3−4回連続で、カサが2倍以上に増えているようなら、スターターは出来上がりです。早ければ5日で、途中うまくいかなくても、10日もあればスターターが出来上がり、パンが焼けるようになります。
Notes:
- 夏場のスターター作りですと、スターターが膨らむのがすごく早くなります。その際には24時間を待たずに12時間ごとにフィードしていただいても構いません。スターターのカサが「倍以上」になっていることが目安です。
- 夏場でなくても、スターターの状況が良いと、早く膨らみ、その後落ちていきます。その時点がフィードするのに最適な時間です。本状況が起きた時には24時間を待たずに次のステップに進んで下さい。6−8時間でフィードできるときもあります。
- スターターの上部に水分が現れた場合、一度混ぜて24時間を待たずに次のフィードに進んでください。
- 室温が低く温度が保てない場合には、ヨーグルトメーカーの30℃設定に入れてみたり、炊飯器の上に置く等工夫してみて下さい。
- 3日目辺りでとても強い香りが出てくることがありますが、心配ありません。匂いを我慢してフィードを続けて下さい。
- スターターが完成したら、メンテナンスモードに入ります。ここからは発酵の速度を遅くするために、冷蔵庫に入れて管理して下さい。そして、パンを焼く前に冷蔵庫から出しフィードして下さい。もちろんパンを毎日焼く方は冷蔵庫に入れずに常時カウンター上で管理していただいて大丈夫です。
サワードウ スターターのメンテナンス方法
サワードウ スターターのメンテナンス方法をこちらで詳しくご紹介しています。ご参照下さい。
はじめまして、
カナダから投稿しています。
いくつものインストラクションのサイトやYoutubeを見て、サワードウ種作りに初挑戦しています。
こちらのサイトがかなり丁寧でわかりやすいと思いましたので参考にさせて頂いています。
以下、質問させてください:
1.2日目に(初回の)膨張はあまり見られなかったのですが気泡を確認しフィードしました。
2.3日目、24時間待たずして12時間位で(2回目の)種が2倍くらいになっていたのでフィードしまし3.4日目からシンナー臭がしてきました。 失敗かと思い捨ててやり直しを考えたのですが、色々調べてみたところシンナー臭(=アセトンとかマニキュアのニオイ)は「エサを欲しがっている印」という説明(英語版)複数見たので、そのままフィードを続けることにしました。
ーー> 良いでしょうか?
4.エアコンの効いたキッチン(23~25℃位)のカウンターに置いています。後で気づいたのですが真下にディッシュウォッシャーがありカウンターが最大4時間位暖かくなります。なので発酵が促進され早くなったと思われます。
ーー> フィードのタイミングを見るのは(時間だけでなく)【たくさんの気泡、カサが2倍、ドロッとした質感、酸っぱい香り】【3日目辺りでとても強い香りが出てくることがありますが、心配ありません】と説明されていますが、上記の状況でこのまま進めて構いませんか?
お返事いただかると幸いです。
コメントありがとうございます!
ご質問いただいた件、以下ご参照下さい。
◼️アセトン臭
問題ありません!フィードを続けて下さい。
スターターを作っている時には珍しいことで、もっと果物が腐ったような匂いがしてくるのですが、そういうこともあるのですね。
捨て種を長く放置した時にもアセトン臭がしてきますが、スターターを2回ほど続けてフィードしてあげることで、リフレッシュされ、その匂いは消えます。
◼️フィードのタイミング
今のまま進めていただいて大丈夫です!
スターターが2倍以上に増え、また萎んできた頃がフィードのタイミングだと思って下さい。萎んできている時というのは、エサを食べ切って、お腹が空いてくる頃を意味するので、その時にフィードしてあげることで、また元気いっぱいなスターターになります。それを3日間程続けられれば、スターターは完成します!
また何かありましたらご連絡下さいませ。
早速のお返事ありがとうございます!
今のまま進めていいとのこと、安心しました!(捨てなくて良かったです・・・)
「(アセトン臭がある場合)スターターを2回続けてフィード」とのアドバイスですが、これは時間を空けずに【(1:1:1)x 2でフィードする】ということでしょうか、それとも1回フィードしたら【スターターが2倍に増えて、また萎む】のを待ってフィードを行う、という意味ですか?
今書いて気づいたのですが、スターター:全粒粉:水の 比率は変えない方がいいですか?
もし途中で変えるべき理由がありましたら、教えてください。
アドバイスとても助かります。
説明不足で失礼しました。
アセトン臭がある場合(または、しばらくフィードしていなくて酸っぱい匂いが強い場合にも)、通常通りに一度フィードし、スターターが2倍に増えて、また萎むのを待ったら、そこから少量だけ取り(私は15−20g取ります)、再度同じようにフィードし、スターターをリフレッシュしてあげます。そのようにすることで、アセトン臭や酸味がほとんど無くなります。
スターターが完成するまでは、基本は比率を変える必要はないのですが、お使いの小麦粉や湿度などによってもスターターの状態が異なるので、もし水分が多い感覚があれば、10gほど水を減らしてみて下さい。
現状は全粒粉のみを使われていますか?今後もし強力粉に変える予定があれば、4日目くらいから強力粉と混ぜてフィードされるのが良いかと思います。
また何かお手伝いできることがあれば、ご連絡下さいませ。
お返事どうもありがとうございます。 アセトン臭がしていてもフィードのタイミングを変える必要はないということですね、承知しました!
情報が多く、また相手が「生き物」なので計画通りにはいかず、、(育児を思い出します・・)
もうしばらくお付き合いいただけると大変助かります。
※フィードの状況をもう少し詳しく書きますと、
・全て全粒粉で行っています。
・1回目は24時間、2回目、3回目は12時間空けています。
・2回目以降はかさが二倍になって発酵は順調とみていますが、フィード時間に気を取られて「萎む」のを確認せずフィードしています。
・4回目(昨日フィードのタイミングのアドバイスを頂いた後)は前回フィードの12時間後の午後11時(当地は日本時間から13時間遅れ)迄にはかさが2倍になっていたのですが、就寝中に萎む可能性もあると思い、冷蔵庫に入れ”保留させ”(←この方法を検索しました)、朝8時に冷蔵庫から取り出しました。 そして前回フィードから24時間後に当る午前11時頃フィードしたかったのですが萎んでくれず、午後4時になっても萎まなかったので、”根負けし”フィードしてしまいました。。
もちろんアセトン臭がしています。
質問:「萎んでからフィード」しないとかなりNGでしょうか?
ーー> 2倍にになり、24時間以内に萎まないのは 粉の種類に原因がある気がするので、アドバイス頂いたように 次回(5回目のフィード)強力粉(Bread Flour)と半々にしてみます。 どうでしょうか? あるいはライ麦と半々、というのはどうでしょうか?
どうぞよろしくお願いします。
萎んでからフィードするのが理想ですが、時間がすでに経っていれば問題ありません。
強力粉と半々でよろしいかと思います。この時点でライ麦を入れるよりは(ライ麦は最初のブーストに使用した方が良いと思います)、強力粉に少しずつ変えていくのが良いと思います。アセトン臭も改善されると思います。
強力粉を加えても今まで通り2倍以上になるようであれば、もうスターターが完成しているかもしれません。
フロートテストを行なってみて下さい。グラスに水を入れ、ピークを迎えたスターターを小さじ1程度取って、水に浮かせてみます。水に浮けば、完成しています。沈んでしまうようであれば、もう1日フィードを繰り返してみて下さい。
昨日から強力粉:全粒粉半量ずつ使ってフィードしています。
週末で、来客があったりで決めた時間にできなかったりしますが、よく目にするサワードウ種の画そのものです。しかし、フロウテストx2=浮きません、、、。
一度パンを焼いてみようかとも思いますが、「(パンを焼く前に)少なくとも14日間はフィードし続け待った方がいい」のような情報も目にします。 難しいですね~。 色々お尋ねしてすみません。
問題なく膨らんでいるようであれば、パンを焼いてみて良いと思いますよ!
味噌などの発酵食品と同じで、サワードウ スターターも今後数ヶ月かけて熟成されていきます。
今の状態でパンを焼いてみて、数ヶ月後の出来上がりと比べてみるのも良いと思います!!
3日目に40gだけ残す、とのことで、瓶の重さがわからないので(最初に測る等記載もなく)とても困っています。
目分量で良いのでしょうか。
他の瓶やタッパーなどに40gだけ移すことは叶いますか?